(1) 古英語の時代には、派生と複合による新語の形成が盛んであった。複合語のうち、heofon-cyning「天の王=神」、feorh-hus「命の家=身体」、hron-rad「鯨の道=海」のように、隠喩をともなった複合語をという。 (2) 中英語の初期にはノルマンジー地方の方言ノルマン・フレンチが、後に、パリのフランス語であるセントラル・フレンチが英語に入ってきた。このため、catchとのように、同語源の語が異なる形、異なる意味で英語に借用されていることがある。 (3) ノルマン征服以降、大量のフランス語が多分野で借用された。ox:beef, sheep:mutton, calf:veal, swine:のように、動物名は本来語、対応する食肉名はフランス語に由来する。 (4) grandmother, grandfatherは、英語本来のmother, fatherに、フランス語のgrandをつけたもので、語源の異なる語を組み合わせたの例である。 (5) 古英語のdeor(現代英語のdeer)は「動物、獣」を表していたが、フランス語からbeastが借入されると、意味が狭まり「鹿」だけを指すようになった。その後、animalがフランス語から借用されると、beastは「獣」だけを表すようになった。このような変化を意味のという。 (6) 西欧諸国によるイスラム圏への十字軍の派遣(11〜13世紀)により、alchemy, algebra, alkali, lemon, sugar, などのアラビア語も間接的に英語に借用された。 (7) 1204年ジョン王がフランスの領地を失った。その後、対仏百年戦争を経てフランスとの関係が希薄化した。英語に対する意識が高まり、14世紀には英語が公用語として復権した。1384年、宗教改革者とその弟子たちは原典のラテン語聖書から英訳聖書を完成させた。 (8) 1476年、はロンドンに英国最初の活版印刷所を開設した。これ以降、手書き写本の時代から大量出版の時代に入り、ルネッサンス時代の新たな語彙を普及させた。 (9) 16世紀ごろから英国のルネッサンスが始まり、ラテン語とともにギリシア語から多くの語が英語に入ってきた。biology, economics, mathematics, analysis, diagram, などの学術用語が多い。 (10) の作品を起源とする英語の語彙やイディオムが相当数ある。たとえば、accommodation, assassination, countless, eventful, gloomy, laughable, eat the leek, the green-eyed monster, on purpose, to be or not to beなどである。