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北海道教育大学函館校の発達臨床心理学を専門とする研究室です。

研究領域(発達臨床心理学)

援助要請(Help-Seeking)

「助けて」と言えない心理の理解と支援

 悩んでいる時にすぐに相談できる時もあれば,「相談したいけどできない」とためらったり,最初から相談しようと思わなかったりする時もあります。このような悩みの相談に関する心理の研究は「援助要請(被援助志向性)」と呼ばれます。(発達)臨床心理学,カウンセリング心理学領域の援助要請研究では,主に何らかのニーズがあり,自分一人では解決が困難であるにもかかわらず,他者に相談しない(できない)心理に関する研究が主流となっています。

 相談しない(ためらう,できない)心理は深刻な問題状況にいる子どもに限らず,子育ての悩みを抱える保護者や職業上の困難状況に遭った教師(担任する学級内で不登校になった子どもがいる,いじめが起きているなど)にも生じ得るものです。さらに言えば,相談しない背景には相談できない環境側の要因もあります。

 そこで,援助要請研究を通して,「相談できる力の育成(「助けて」が言える,SOSを出せる)」と「相談したい気持ちに気づける環境の創造(「助けて」に気づける,SOSに気づける)」の両方をめざしています。

【「援助要請に焦点を当てたカウンセリング」の開発】
 現時点では困っていなくても予防的(あるいは開発的)に相談(援助要請)できる力を高めるための介入を行い,将来困ったときに相談しやすくなることも重要ですが,今現在何らかの困難状況にある個人への具体的な援助方法を見つけること(「本当に困っているのに相談しない(特定の)個人にどのように働きかければよいのか」,「立場上,支援者側から訪問する形で(特定の)個人に働きかけているが,拒否される場合,それ以上は何ができるのか」)も重要です。そこで,最近では個別のカウンセリングの中で援助要請の理論や研究知見を活かす方法を研究しています。


認知行動療法(Cognitive-Behavior Therapy)

学校における認知行動療法を活かした支援の展開

 認知行動療法とは,個人の生活上の困難状況を個人と環境の双方からとらえ,認知(考え方)や行動(振る舞い方や言動)の変容を通して困難さを軽減する方法を練習し,セルフコントロールできる部分を増やしていく心理療法といえます。個人や小集団に対する治療的な実践のみでなく,予防的な目的で集団を対象に実施されることもあります。

 研究室の教員は非常勤職としての臨床の中で認知行動療法を行う以外に,学校で子ども集団を対象とし,認知行動療法の技法による人間関係づくり(ソーシャルスキル教育,ストレスマネジメント教育など)の実践を行い,その効果を検証しています。特に学校で実践する場合,学級・学年・学校の多様性を踏まえた実践,各学校の実態と課題に応じたプログラムの構成,限られた時間の中で実践し一定の効果を得ること,の3点を特に重視しており,これらに資する研究を行っています。


保育・乳幼児教育の質
(Quality of Early Childhood Education and Care)

保育・乳幼児教育の質向上に向けた心理学的アプローチ

 「挑戦的意欲」に関する研究では,保育の観察や実践を通して幼児が挑戦している姿(遊びのプロセス)を抽出し,幼児が遊びの中で自ら挑戦したくなる(粘り強く取り組む,夢中になる)環境や教材について検討しています。

 また,保育・幼児教育に関する資料の分析として,幼稚園教育要領などの資料を心理学の概念から捉えなおすことで多様な子どもの姿を描き出し,子ども理解の深化につなげることを試みてい
ます。


学校心理学に基づく教員養成教育
(School Psychology-Based Teacher Education)

教育相談の基礎能力を高める教育・研修プログラム開発

 学校心理学を理論的基盤とし,援助要請と認知行動療法の理論や技法を取り入れた教員養成教育プログラムの開発と研究(プログラムの効果の検証)を行っています。教員養成教育の中でも特に教育相談の基礎能力の向上をめざしています。これらのプログラムの一部は現職教員を対象とした研修にも修正を加えつつ使用しています。

(最終更新日:2019年3月1日)
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