短期留学レポート シドニー工科大学 |
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私は大学の交換留学制度を利用して、オーストラリアのシドニー工科大学(以下、UTS:University of Technology, Sydney)へおよそ11ヶ月間、留学に行ってきました。ここではその経験から得たことについて触れたいと思います。
私は大学から留学した4人の仲間と共に、UTSに付属のELSSA Centreと呼ばれる英語学習支援センターでオーストラリアの文化と歴史を通して英語を学びました。ここでの学習は本当に興味深いもので、教師の生徒に対するアプローチの方法の違いや授業の組み立て方などとても勉強になりました。例えば、English for Academic Purposesという講義では、自らオーストラリアの文化に触れ興味を持ったものについて、図書館の文献やそのトピックに関係する人々にインタビューへと赴き、レポートを書きあげました。世界中からの様々な理由による移民が国民の大多数を占めるオーストラリアで私は原住民であるアボリジニーの人々の教育問題について調べました。白人教育を強制されることによる弊害、彼らの独自に築き上げてきた言語や文化を失うこととそれの観光資源としての流出に関する問題、そこから発展した原住民の若年層の民族意識の欠如と犯罪増加などとても実りの多きものになりました。調査の過程で出会ったアボリジニーの方から学んだことは私にとって大きなこれからの糧になると確信します。アボリジニーの方々が私たちの住む北海道の原住民であるアイヌの方々と定期的に交流を持っていることを聞いたときはとても驚かされました。
また、未知の文化的背景を持った多くの人々や文化と出会うことで「自分」という存在についても深く考える機会を持ちました。日本という国に生まれて日本語を話してというのが当たり前だと思い込んでいた自分に、オーストラリアとその人々は時に厳しく私にはまだまだ未知のものが多くあること、可能性はまだまだ大きくあることを教えてくれました。
あの澄み切った青空と海の色、そしてオーストラリアのビールの味は忘れることはないでしょう。
最後に、この留学のためにお力添えをいただいた函館市、北海道教育大学、UTS、全ての方々に感謝の意を添え、終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
(『国際交流ニューズ・レター』第11号(2005年9月発行)から転載)