北海道南西部に位置する渡島半島は、北海道の一部でありながら植生的には本州北部との関係が深い植物が多数生育しており、それらの植物の北限となっている場合が多くあります。すでに本トピックスでも、早春に咲くマルバマンサクとキブシを取り上げましたが、今回は今花盛りの二種の木本植物を紹介しましょう。
トチノキ(トチノキ科)は、小葉が5〜7枚の大きな掌状複葉が目立ちますが、花序も大きくて見事な高木です。それに対して、低木のミツバウツギ(ミツバウツギ科)は、3枚の小葉を有する対生する小柄な3出複葉が特徴ですが、その花にも味わいがあります。
6月に入り、林床の開花草本植物は、コンロンソウなど特定の花が目立つものの、種数としては急に寂しくなりました。しかし木本植物には、これから開花期を迎えるものがまだまだ沢山あります。学内に一株あるキンギンボク(スイカズラ科)もこの仲間です。道南が北限ではありませんが、南部の山野に多い低木であり、そのめでたい名前の由来は写真を見れば明らかでしょう。庭木としても人気がありますので、誰かがイボタと一緒に植えたのでしょう。 (長谷 昭)
トチノキの概観 | トチノキの花 | ミツバウツギ |
ミツバウツギの花です。 | キンギンボクの名の由来は? | 金と銀(?)の花をつけるのです。 |