- 季節のトピックス -
めまぐるしく移りかわるキャンパスの植物たち―その2
(2004年5月15日)

 早春からこの季節にかけてのキャンパス内では、華やかなサクラやツツジに目が奪われてしまい、芝生や道ばたの小さな植物たちにまでは気が回りません。しかし、見渡せばそれこそ無数の小さな植物たちが息づいているのです。その中からここでは、従来の図鑑類では合弁花植物と分類されている植物と、花は目立たないけれども、圧倒的な種類と個体数を誇るイネ科植物の一部を紹介しましょう。
 合弁花植物で一番多いのはキク科ですが、セイヨウタンポポよりも早く開花するのがノボロギクです。すでに冠毛付きの果実をたくさん飛ばしています。シソ科のホトケノザとカキドウシは昨年も紹介しました。今が最盛期とばかりキャンパスのあちこちに群生しています。ヒメオドリコソウも咲いています(昨年5月10日「トピックス」参照)。ヘラオオバコ(オオバコ科)も長い花柄を伸ばして開花し始めました。最盛期はもう少し後です。ムラサキ科のワスレナグサは名前があまりにも有名ですが、ごく身近に生育しているとは知らない学生も多いようです。これもこれから最盛期を迎えます。ゴマノハグサ科の両雄、オオイヌノフグリとタチイヌノフグリは今競演していますが,その間隙を縫うがごとく,コテングクワガタも咲いていました。いずれも小さくて見逃しそうですが、和名の由来の果実も実り始めました。
 イネ科植物では、名前の通りハルガヤが満開です。イネ科植物の中では個性的な花序を付けるものの一つなので、比較的分かりやすい植物です。芝生として植えられているナガハグサも、道ばたで芝刈りから免れたものが花序を伸ばし始めました。開花はまだですが、程なく咲き始めることでしょう。圧倒的優勢の帰化植物に混じって、3種の小さな在来種が頑張っています。まずはスズメノカタビラとスズメノテッポウですが、帰化植物の攻撃を避けるかのように、一緒に群落をつくっていました。また同じ場所には、コウボウが少ないながらもしぶとく生きていました。個体数が少なく絶滅が心配されますが、毎年律儀に出現してくれます。最強帰化植物軍団のカモガヤやヒロハノウシノケグサも花序を伸ばし始めています(そのうち紹介しましょう)が、劣勢の在来種集団にてこ入れしたくなるのは、私だけではないでしょう。身につまされるものがありますからね・・・。 (長谷 昭)


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ノボロギク。冠毛も見えます。 ホトケノザ カキドウシ
ヘラオオバコ ワスレナグサも自生しています。 オオイヌノフグリ
コテングクワガタ 花序が個性的なハルガヤ ナガハグサ
スズメノカタビラ(左)と
スズメノテッポウ(右)
スズメノカタビラ(左)と
スズメノテッポウ(右);拡大
コウボウ


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