昨年度については,総集編で誤魔化してしまいましたが,今年度は野外実習と歩調を合わせて,出来るだけこまめに更新したいと思っています。今年度第一回の季節のトピックスでは,野外実習初日に観察した開花植物を紹介しましょう。
今年度は,30名の学生を4グループに分けて,異なった環境での開花植物調査を行うことにしました。その一グループがフィールドとしたのが,松倉川沿いの道道980号線(大船ー松倉林道)周辺です。中流域までがターゲットですが,定期調査は初めてです。今回は,学生たちが撮った写真をそのまま使って,特徴的な植物を紹介しましょう。私の方は実習指導に忙しくて,まともな写真を撮れませんでした。
中心的な調査ポイントを函館市水道局の取水場近くにしようと思いましたが,思ったよりも笹が多くてまとまった調査地点を設定出来ませんでした。しかし,笹藪が切れる随所に春を代表する植物が小群落を作っていました。特に目立ったのはフクジュソウ(キンポウゲ科)でした。もう終わりでしたが,かなりまとまって生育しています。ニリンソウ(キンポウゲ科)も咲き始めていましたが,満開までには1週間以上かかるでしょう。川に近い湿った林床には,二種類のネコノメソウ(ツルネコノメソウとヤマネコノメソウ,ユキノシタ科)がひっそりと咲いていました。またフッキソウ(ツゲ科)も咲き始めていました。
さらに,ここに至る道路沿いの随所には,小規模ですが特徴的な群落があり,早春の開花植物たちで賑やかでした。まずはミズバショウ(サトイモ科)です。小さくても非常に綺麗な群落です。さらにエゾエンゴサク(ケシ科)の群落もあり,カタクリ(ユリ科)とのデュエットが見事でした。また,ほぼ半々が青紫花と白花の,コントラストが見事なキクザキイチゲ(キンポウゲ科)の群落もありました。
定期的に調べることにより,宝物が出てくる予感を感じさせる環境ですが,あまりにも笹が多すぎますので,調査地の再検討が必要かもしれません。(長谷 昭)
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フクジュソウ | ニリンソウ | ツルネコノメソウ |
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ヤマネコノメソウ | フッキソウ | ミズバショウの小群落 |
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エゾエンゴサクの小群落 | カタクリとエゾエンゴサク | 青紫花と白花のキクザキイチゲ |