- 季節のトピックス -


道南の海岸もお花畑になっています(2010年6月26日)

 例年よりも遅く始まった2010年の花の季節ですが,初夏から夏に向かってどんどん季節が加速しているような気がします。これに背中を押されるように,慌ただしく毎日が過ぎて行きます。このコーナーの更新もまたまた滞ってしまいました。しかし,植物の調査は,函館山を中心に定期的に進めています。撮り貯めた写真も膨大な数になりました。
 さて,この時期は山野の開花植物が寂しくなりますが,海岸植物は次々と開花期に突入です。卒論研究の調査と指導を兼ねて,道南の噴火湾側から恵山岬にかけて,海岸植生調査に出かけました。秘めた目的の1つは,ヒオウギアヤメ(アヤメ科)を観察することでした。道東でのこの植物の群落の開花の記事が新聞に載ったこともあり,今行けば花を見ることができるだろうとの期待からでした。まずは以前に観察した長万部の海岸湿地です。例年ノハナショウブ(アヤメ科)の見事な群落がドライバーの目を楽しませてくれる場所ですが,ノハナショウブにはまだ早すぎました。しかし,予想と期待が見事に当たり,ヒオウギアヤメは最盛期真只中です。小さいながらも,随所に群落が見られました。湿地に靴を濡らしながら撮影した一枚を紹介しましょう。
 目的を1つ果たした満足感に浸りながら,海岸の岩場・砂浜を巡り,砂崎岬に到着です。ここにはセンダイハギ(マメ科)の大群落があることを先週確認していましたが,何と,ヒオウギアヤメのかなりな規模の群落もありました。その二種に加えてハマナス(バラ科,写真は省略)も咲き乱れ,大きなお花畑になっていました。恐らくは,道南有数の「原生花園」でしょう。海岸の塩湿地特有のエゾツルキンバイ(バラ科)とヤラメスゲ(カヤツリグサ科)も生育していましたので,合わせて紹介しましょう。
 恵山岬などの岩場では,お馴染みのゼンテイカ(エゾカンゾウ;ワスレグサ科)とエゾスカシユリ(ユリ科),そしてエゾヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科)も咲いていました。この三種にはまだ蕾が沢山付いていますので,花の季節はまだまだ続くことでしょう。(長谷 昭)


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長万部のヒオウギアヤメ
このような小群落が点在しています
砂崎岬のヒオウギアヤメの群落
一部です
花の拡大
センダイハギの群落と花の拡大
ハマナスの花が点在しています
エゾツルキンバイ ヤラメスゲ
大きな群落を作っています
ゼンテイカ(恵山岬) エゾスカシユリ(黒岩) エゾヒナノウスツボ(黒岩)


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