- 季節のトピックス -
開花植物の端境期に恵山方面を巡りました(2007年7月14日)

 6月は好天・高温の日が続き,季節が一気に夏に突入かと思いきや,7月に入り一月遅れの「リラ冷え」が続いています。野山の植物は,開花植物の端境期(はざかいき)ですが,卒業研究の対象植物の分布と生育状態の確認のために,卒論生の松本君を連れて恵山方面に調査に行きました。今回は,中国からの留学生の徐さんも同行しましたので,更に,行動範囲を恵山と日浦海岸に広げ,開花植物を観察しました(「実験・実習風景」参照)。その中で比較的目立った植物を紹介しましょう。尚,写真の一部に松本君撮影のものを用いました。
 まずは,メインの調査地の道道蛾眉野−原木線沿いです。この地は,シノブ(シノブ科,何度か紹介済みなので写真は省略)をはじめ,北海道では比較的稀な植物が集中して生育している「ワンダー・ランド」であることは,すでにこのコーナーでも繰り返し紹介しています。そのシノブの生育状態の確認も今回の調査の一つの目的です。例年通り葉を展開していましたが,昨年よりは数が減ったような気がします。卒論のターゲット植物のホツツジ(ツツジ科),ムラサキシキブ(クマツヅラ科),クサギ(クマツヅラ科)などは,生育は良好なものの花はまだ固い蕾でした(従って写真はありません。「
実験・実習風景」参照)。草本植物ではオニシモツケ(バラ科)やエゾニュウ(セリ科)が目立っていましたが(いずれも写真なし),それ以外はまだ蕾状態のものが多く,シュロソウ(ユリ科),エゾアジサイ(ユキノシタ科)及びウツボグサ(シソ科)などが,彩りを添える程度でした。
 昼食後,活火山恵山まで直行しました。あいにくの霧で眺めが悪く,また,高山植物の多くが開花期を過ぎて実の状態でありましたが,その中で,ホタルブクロ(キキョウ科)と思われる花が,これから開花しそうな状態でした。更に,ウラジロタデ(タデ科)と毛のような細い葉が特徴のウシノケグサ(イネ科)が特に目立っていました。
 開花植物については多少期待はずれの山でしたが,海岸は,初夏の賑わいは一段落したものの,予想通りまだまだ花盛りでした。これから盛夏と秋に向けて,再度賑わいを増すことでしょう。ここでは,いま最盛期を迎えつつある,キリンソウ(ベンケイソウ科),エゾヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科),ハマフウロ(フウロソウ科),ハマヒルガオ(ヒルガオ科),ハマボッス(サクラソウ科),そしてミヤコグサ(マメ科)を紹介しましょう。
 季節はずれに大型化した台風4号が日本列島を離れたならば,恐らくは気圧配置も変わり,北海道は盛夏へ向けてまっしぐらでしょう。そして,道南は一年中で一番開花植物の種類が多い季節を迎えます。春先に続いて多様な花々が次々と開花する第二の花の季節は,すぐ目の前です。(長谷 昭)


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シュロソウ

エゾアジサイ

ウツボグサ
ホタルブクロ(?)
まだ開花していません。
ウラジロタデ
和名の通り葉の裏が白いです。
ウシノケグサ
キリンソウ エゾヒナノウスツボ ハマフウロ

ハマヒルガオ

ハマボッス

ミヤコグサ


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