- 季節のトピックス -
亀田川上流と見晴公園に道南の山野の夏を見ました(2007年8月1日,3日)

 6月の暑さとは打って変わり,7月は寒い日が続き,朝夕ストーブをつけた家庭も続出しました。しかし,季節は確実に夏に向かって邁進していました。天候不順で,降雨が心配された新課程2年生対象の植物観察実習も,3回目の盛夏編に突入です(「実験・実習風景」参照)。
 8月1日は,水曜日なのに月曜授業という変則的曜日でしたので,午後から学生を連れて亀田川上流域に植物観察に行きました。好天に恵まれましたが,7月下旬の大雨の影響が強く,川も多少濁り,中野ダム湖も褐色を帯びていました。しかし,山中はまさに夏です。うっそうとした深緑の中は,初夏とは違った雰囲気が満ちあふれていました。開花植物相も大きく変わっています。ヤマブキショウマ(バラ科)が終わりつつある中,トリアシショウマ(ユキノシタ科)が目立ち始めていますが,写真では厳密には区別をつけづらいので,ここでは紹介は控えましょう。岩場を中心に多く生育していたのは,イワアカバナ(アカバナ科)とオシマオトギリ(オトギリソウ科)でした。両者ともそれぞれごく近縁のアカバナおよびオトギリソウと区別が難しい植物ですが,それらしい写真を撮りましたので,敢えて紹介します。他には,アマチャヅル(ウリ科)が比較的目立ち,花も咲かせていました。また,もう実の状態ですが,ミヤマキヌタソウ(アカバナ科)が道端で小群落を作っていました。来年は開花期の写真を撮りたいものです。
 一方,少し明るいところに紫色の小さな花を付ける植物がありました。エゾムラサキ(ムラサキ科)のなれの果てかと思って調べたところ,オニルリソウ(ムラサキ科)でした。実が特徴的なようですが,初めて見ました。更に,ダム湖の上の道路際にはホタルサイコ(セリ科)がいく株か生育しており,また,その近くには,高木になるマメ科植物では北海道での唯一の在来種である,イヌエンジュが開花しつつありました。
 さて,二日後の8月3日,今度は見晴公園での実習です。同じ,亀田山地側ですので,亀田川上流域と共通する植物が沢山ありましたが,ここでは,この地だけで観察された植物を紹介しましょう。
 まずは,ムラサキシキブ(クマツヅラ科)です。実はお馴染みですが,花の写真はなかなか良いものを撮ることが出来ませんでした。今回も開花期の終わり間際です。次は,目立つ花序を持つエゾクガイソウ(ゴマノハグサ科)です。大部分は花期が終わっていましたが,かろうじて残っているものを撮ることができました。そして,池の中ではコウホネ(スイレン科)が咲いていました。たぶん,自生のものだと思います。少し上の方では,ミズタマソウ(アカバナ科)がその独特の実をつけながら咲いていました。実と言えば,初夏に花の写真を撮ったルイヨウボタン(メギ科)が,その特徴的な実を付けていましたので,紹介しましょう。
 夏真っ盛りのはずなのに,植物には秋の気配も感じられるようになりました。多くの秋に開花する植物が,蕾を付け始めています。ぽつりぽつりと咲き始めているものもあります。短い北国の夏が終わると,山野は一気に最後の花の季節を迎えることでしょう。(長谷 昭)


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イワアカバナ
雌しべの柱頭が頭状です。

オシマオトギリ
萼片が細い披針形です。

アマチャヅル
ミヤマキヌタソウ
実が付いています。
オニルリソウ ホタルサイコ
イヌエンジュ ムラサキシキブ エゾクガイソウ

コウホネ

ミズタマソウ

ルイヨウボタンの実


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